港湾プロジェクト

 1970年、80年代に都市計画の大型プロジェクトとして、都心に近い鉄道の操作場がをあびた、例えばケルンのメデイアパークなど。そして90年代になって港湾プロジェクトが注目を受けるようになった。

 産業構造の変化にともなって近年港湾が不要になつつあり、また港湾といっても河に面した内港で都心に近いものが多い。

 ドイツの都市ではハンブルク、デユッセルドルフ、ドイスブルクなどでこの港湾プロジェクトがすすめられている。これらの例はおいおい報告するとして、ここではまず地元のフランクフルトの例をご紹介しましょう。

 

 

フランクフルトの内港

 

フランクフルト市の正式な名前は「フランクフルト アム マイン」である。「マイン河沿いのフランクフルト」という意味で、実際、ドイツにはフランクフルトがもう一つあって、こちらは「フランクフルト アン デア オーダー = オーダー川沿いのフランクフルト」である。こちらも結構大都市であるが、これまで共産圏の東ドイツにあったので混乱は無かったが、東西ドイツが統一されて2つのフランクフルトが自由に行き来できるようになってから、この都市名の後につける「アム マイン」が重要になってきた。

 

 ということで、フランクフルトにはマイン河があり、ここも産業革命の、しかしその終わり頃になって、船舶輸送の重要さから、まづ「ウエスト内港」が1886年に、そしてその20年後に「オスト=東内港」がつくられた。余談であるが、このオスト内港はわが事務所に近く、夏の天気の良いお昼など、パンとミルクを持っていって港で船などを見ながら食事をするなど、都心に近い広々とした敷地である。

 

 オスト ハーフェン(東部内港)  ◆

 この2つの内港は、今日、港湾事業はほとんど行なわれておらず、どちらも再整備計画の話しがもちあがっている。

 オスト 内港の再整備は、現在隣接都市のハーナウ港湾との港湾機能協議の結果待ちである。

 

◆ ウエスト ハーフェン(西部内港) ◆

 始めに出来たウエスト内港では、港湾機能にピリオッドをうつ大型再整備がはじまった。新しい機能は事務所、企業、住宅である。 高層ビルが建ち、全12.5万平米が整備される。

 

 ここは場所が抜群によく、フランクフルトに中央駅から歩いて10分ぐらい、河をひかえて南向きの絶好の住宅地。都心に近く、それでいて独立した静けさ、買い物、文化、余暇施設など都市のインフラストラクチャーは整っており、またフランクフルトは金融の町、その銀行街も近い。住むのも働くのも実に便利が良く、かつ河に面した南向き、絶好の立地である。

 

 開発事業体は、「土地開発会社」とでもいう民間会社(Grundstueckentwickler OFB)が主導している。用途は事務所ビルと住宅。

 

図 : ヨットハーバーのある高級住宅

 最初の移転は事務所ビルの「橋ビル(Bruecken Gebaude)」に20033月末。

 住宅の入居開始は20035月。住宅はほとんどが分譲で、住宅の規模値段であるが、1棟を例にとれば、54平米からペントハウスの230平米までで平均100平米。販売値段は平米あたり4000ユーロ(約50万円)だから100平米の住宅はほぼ5千万円と非常に高価である。

 

 中央駅からマイン川に向かって歩いて5分ほど、最初に目につく丸い高層ビルは「ウエスト ハーフェン タワー」で、外壁の模様が地元名物アップルワインのグラスの模様に似ていることからニックネームがアップルワイン容器のタワー「ベンベル タワー」。このタワーと隣の橋ビルの1階には、オープンカフェーのある喫茶店、レストランが計画されている。

 

 地域全体はクルマ進入禁止地区で、クルマはタワービルの地下および、中央道路(Speicherstr.)の地下駐車場に。河岸には並木が植えられた2~4m幅のプロムナード、自転車散策路が計画されている。

 

 水面には、外来ヨットの一時寄航場所もそなえたヨットハーバーが住民のために新しく整備される予定である。

 

 内港の水は流れはないが、夏になるとタワービルその他のビルの冷房に使用され4から5日に一度入れ替わることになり藻の発生とか悪臭はナイ、とのこと。

 

 インフラストラクチャー:橋の下にサッカー練習場、西端にインラインスケーター施設、中央道路の北側中央に学校、幼稚園、青少年クラブが民間資金で建設予定、その隣にはスーパーマーケットが計画されている。

 

 外部工事を含めておおよその工事の完成は2006年の予定。(Fotos: FR.26.03.03

 

表紙ページに戻る